なんか違う気がしないでもなくもなくもない、みたいな<どっちだ。



いま問われているのは、有用なデータやAPIの寡占によって、供給業者の交渉力がきわめて強くなっていることであって、マッシュアップによるビジネス構造そのものではない。

熊谷氏が「ポイントを外さないことが大事」というのは、もちろん「供給が寡占されているうちはマッシュアップは危ないね。危なくなくなったら検討に値するけれども。」ということであって、「マッシュアップそのものが危ないね」ということではないはずだ。

うん、これはどうなのかな?なんか違う気が。何が違うかというと寡占状態とマッシュアップによるビジネス構造のもたらす結果を独立のものととらえているところ。

実際のところマッシュアップは供給業者の交渉力を増大させる効果、寡占への圧力をもつ。供給が寡占されているからマッシュアップは危ないんじゃなくて、マッシュアップ自体が寡占を招くのだ。なぜならマッシュアップ戦略には明らかにネットワーク外部性がつきまとうから。データベース屋さんのマッシュアップ競争には規格競争にも似たところがあって、その本質は技術者・サービス提供者の囲い込みによっていかに支配的ポジションを速く築くかという競争である*1。同一データベースを用いたサービスは連携が容易だが、個々のデータベース自体は連携しないというところがミソ。そして連携の組み合わせの数が多ければ多いほど、データベースの価値が増すのは明白だ。

そして一旦マッシュアップ間の優劣が決まってしまえばそこからの挽回が難しくなっていき・・・と、ここからはよくあるネットワークの経済学の話なので省略。

それまで検索サービスという形でしか利用を許さず延々と蓄積してきたデータベースをついに解放して最大限利用しにきた。データベースの開放による支配戦略という面白い戦略だよね。オープンによる支配。

*1:ってえらそうな口調で書いてるけど基本的に専門家じゃないのでぜんぜん違うかもね。間違ってると思ったらゴルァしてください。